訪問介護(ヘルパー)の転職を検討されている方は少なくないと思います。
例えば小さいお子様がおられ、保育園に預けていているわずかな時間でも働くことができますし、40代50代以上の中高年であってもヘルパーをされている方も多数おられます。
基本的な介護資格である介護職員初任者研修を修了していれば、就業することが可能なお仕事です。
料理苦手…
ヘルパーの介護業務は、直接的な介護よりも掃除や洗濯、調理、買い物といった、普段自宅でしている家事を業務として行うことが多くなりますので、家事の延長だからと言って気軽にされている方も多くおられます。
そんなヘルパー業務ではありますが、実際にヘルパーをしてみるとこんな悩みをお持ちの方も中にはおられます。
「自宅で料理をするのは、別に家族が相手だから失敗しても、まずいと言われても平気ですけど、高齢者の自宅で料理をして食べてもらう事は苦手です。」とおっしゃるヘルパーもおられます。
やはり家族に対する料理と、ヘルパー業務として行う料理は当然違います。そのために緊張して苦手意識を持っておられるヘルパーさんはたくさんおられます。
ヘルパーが行う調理の援助は、もちろんどのような料理でも構わないという事ではなく、決められた時間内において限られた食材の中で調理を行わねばなりません。
また必要であれば買い物から行わねばなりませんので、その判断力も必要になります。
当然ながら、お年寄りの健康も考えねばなりませんし、それでいて美味しく調理しなければなりません。
調理を苦手としているヘルパーさんのために、ヘルパーが調理をするうえで押さえておかねばならないポイントについてお伝えしていきたいと思います。
高齢者の食事について理解する
高齢者にとって食事の時間は楽しみの時間でもあります。
しかし多くの高齢者は、「硬くて食べられない」「飲み込む事が難しくなった」などと加齢に伴って、身体状況が変化してきますので、楽しい時間のはずが苦手なものへと変わってしまう可能性があります。
その食事をやはり楽しい時間にするには、調理に対して工夫が必要となります。
ヘルパーは自宅で行う調理ではない、プロの介護者として調理を行うといった意識が必要となります。その調理に対する工夫について見ていきたいと思います。
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高齢者が満足することのできる食事を作る
私たちが食事を食べる際にもおいしく食べる工夫というものがあると思います。
例えば、「調理の際のにおい」。美味しいにおいがしているとお腹が減ってきて、食べたくなりますよね。
またその美味しいにおいがしている調理を見ることができれば、さらに美味しさが増すような気がしませんか。私たちも面前で調理をしてもらうと食欲がそそりますよね。
さらに盛り付けが美味しそうになされていると、見た目も楽しめることができます。
このように楽しい食事の基本というものは、見た目、におい、音など五感に訴えかけることが必要であります。
調理を行う際の工夫や盛り付けの工夫などを意識しながら調理を行うとよりよい食事時間となるはずです。
大きさや固さなどに注意し、美味しく食べるように
高齢者の利用者は、加齢により噛み砕き(咀嚼)や飲み込み(嚥下)の状態が悪い方もたくさんおられます。安全に安心して食事ができるような工夫が必要です。
まずは事前に利用者の咀嚼の能力や嚥下の能力がどれくらいであるかを掴んでおく必要があります。
高齢者だからといって、すべての調理を柔らかいものばかりにしてしまうと、その料理そのものの歯ごたえなど楽しめるものがなくなってしまう可能性もあります。
また利用者の好みの問題もあります。少し固めが良いという利用者もおられれば、柔らかい方が好きだとおっしゃる方もおられるでしょう。
出来る限りその利用者の好みに合わせて調理するということが必要です。
ただし咀嚼や嚥下の能力が落ちていると判断できるのであれば、利用者と相談して妥協してもらうとか、食べる前にお茶などを飲んでから食べるようにするとか、何かしら妥協点を見つけていく必要があります。
この際、ヘルパーの判断だけで行うのではなく、利用者と共に決定していくようにしましょう。
咀嚼や嚥下がかなり弱い方であれば、飲み込みをスムーズにできる調理にする必要があります。
水分量を多くしたり、あんかけなどトロミを付ける事も有効です。つるっとした豆腐やムースなども有効です。
反対に飲み込みづらい食べ物もあります。
おでんなどの練り物は咀嚼や嚥下の悪い方には不向きです。それ以外にも水分を奪ってしまうようなパンなども不向きですし、飲み込みにくいものは使わないようにしましょう。
また酸味の強い酢の物などの、むせ込みをしやすくなる食材について注意が必要です。
調理の味付けに注意しよう
味付けは、人によって好みが分かれる部分であると思います。
例えば、濃い味が好みの方もおられれば、薄い味を好まれる方もおられるでしょう。この点においても、その利用者の好みの味を掴んでおくようにしましょう。
男性の高齢者に多いのですが、濃い味を好まれる方が時折おられます。
基本的にはヘルパーが調理する食事は薄めにします。これはやはり塩分の問題があります。
例えば高血圧の高齢者に対して、塩分を多く含んだものを提供することで高血圧が悪化してしまう可能性があります。
それ以外にも塩分を控えなければならない疾患をお持ちの方はおられますし、その方の既往歴について頭に入れておく必要があります。
味には「塩味」「甘味」「酸味」「苦味」「旨味」の5つの味があります。
高齢者は加齢とともにこの味覚が鈍ってくると言われています。そのために中には濃い味を希望される方という方もおられます。
すでに味がついているのに醤油をかけて食べられたり、甘いのに砂糖を付けて食べられたりする事があります。
そのために塩分が高くなったり、カロリーや糖分が高くなり、身体に何かしら影響を及ぼす危険性も高くなります。
塩分が高くならないようにすにはダシをしっかりと取るなど工夫が必要になります。
特に濃い味付けがお好きな方に対して、薄い味の物をお出しすると、健康には必要なものであると分かっていても、やはり満足できないものになりますし、味付けの工夫を行うようにしましょう。
また糖分に関しては、カロリーオフのものを使うなど工夫もできますので、どのように味を調整することができるのか考えておく必要があります。
決められた時間内で済ませることができる料理
ヘルパーは限られた時間内で調理を行う事を求められます。
中には時間がかかるような凝った料理を希望される利用者もおられます。時間内で済ませる事のできる料理を考えて行うようにしましょう。
そのためには、その利用者の自宅にある食材を知っておきましょう。
もしも別のヘルパーも訪問されているという事でしたら、事前に冷蔵庫に何が入っていたかなど聞いておく事も有効です。
あるいは、別のヘルパーが作った料理を聞いておいて、一緒の物を作らないように工夫する事も良い事でしょう。
調理が苦手でもヘルパーになれる!
ヘルパーのお仕事を検討される際に、「料理が苦手だから」と敬遠される方も中にはおられます。
しかし、料理が苦手だからと言って、ヘルパーには不向きなのでしょうか。
ヘルパーの中には様々な方がおられますので、調理が苦手であるヘルパーも当然おられます。
私が知っているヘルパーは、いまサービス提供責任者として活躍されている方ですが、結婚前からヘルパーをされていて、調理の経験がほとんどないという方がおられました。
その方は買い物を頼まれても、その食材名ですら良く分からないものがあったようで、最初は苦労されたようです。
そのヘルパーさんは、もちろん日々の業務の中で調理の経験を積んでいき、自分自身でもいろいろ調理について学ばれたそうですが、利用者と積極的にコミュニケーションを取ることで克服したそうです。
高齢者の中には調理がもともと好きだったけど、身体が悪くなってから自分でできなくなったという方がたくさんおられ、そのような方であるとできる部分は手伝ってもらったり、聞けば調理のポイントを教えてもらえたりするようです。
高齢者はヘルパーよりもはるかに長い期間において料理をされてきた方もたくさんおられますし、美味しく作るポイントを知り尽くしておられる事も多いのです。
そんな事を学んでからは、あまり固くならずに苦手なものは苦手であると伝えたうえでしっかりとヘルパー業務を行うようにしたそうです。
すべてを完璧にしなくても良いという緊張感もなくなり、逆に利用者との信頼関係も構築しやすくなったのです。
お仕事であるとしても、得手不得手というものは必ず存在します。
料理は苦手でも、別のところでカバーできれば良いのではないかと思います。苦手を少しずつ克服していく事もできますし、その姿勢が大事なのではないでしょうか。
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